キノの旅が僕の原点
自分を形成した作品は何だろうと考えたとき、思い浮かぶ作品はいくつかありますが、いちばん最初に思い浮かぶのは「キノの旅」です。
僕のキノという名前はここから取っています。
中学から高校生の間にこの作品にドハマりし、新刊が出るたびに購入していました。
社会人になってからは離れてしまったので現在すべての巻を読んでいるわけではありませんが、当時はすごくハマっていました。
学生時代、学校で読んでいた本はラノベか美少女ゲームの文芸書です。年齢的に18禁を買えなかったので、つよきすの好きなキャラの本を買って学校で読んでいました。
まわりに美少女ゲームが好きだという事を全く隠さないで生きていたので、特に冷やかされることはありませんでした。
後ろの席の人から本の挿絵が見えていたらエ〇本を読んでいる、ただのやべぇ奴です。(もちろんカバーをかけて読んでいました)
そんな話よりも「キノの旅」です。
人に依存しないようになったきっかけ
学生時代に「キノの旅」にハマって本当に良かったと思っています。
なにごとも一歩引いて客観的に見る癖があるのですが、ここで培われました。
旅にはキノ自信で決めているルールがあり、ひとつのひとつの国の滞在期間は3日です。
そのためキノは必要以上に人に干渉しません。
喋るモトラドのエルメスと共に、いろんな国へ旅をします。
第三者目線で人間の愚かさを見れる作品です。
国の名前がカタカナの名詞ではなく、「多数決の国」だったり「嘘つき達の国」だったりする点も好きです。
そして短編物なので読みやすいです。
僕が読んだ中で一番心に刺さっている話は主人公が「キノ」になったきっかけの話である「大人の国」です。(電撃文庫「キノの旅」1巻収録)
以下ネタバレ注意
「大人の国」が僕の考え方の土台
とある旅人(男性)キノがエルメスに乗り「大人の国」へやってきます。
そこで出会う少女との話です。
この国は医学が発達しており、12歳になった子供は全員脳を開けて手術をし、嫌な事間違ってること全てを受け入れられる大人になります。
キノが出会った少女は明後日で12歳になります。
キノは少女に
「いやな事ができるのはちゃんとした大人なのか?いやな事を延々と続けて人生楽しいのだろうか?」と言います。
そこで少女は胸に秘めた夢を口にしました。
夢を語ることは禁句で、流れに乗らない少女を大人たちは”処分”しようと捕まえに来ます。
実の両親は庇ってくれると思いきや逆で、自分の子供だからこそ処分しなくては、と他の大人たちと共にやってきます。
キノは凶器を持った大人たちから少女を庇い、殺されてしまいます。
近くにいたエルメスに「自転車は乗れるかい?」と問いかけられ、少女はエルメスに跨り、無事に国から抜け出します。
殺されるか、手術をするか、逃げるかの三択で、少女は自ら「逃げる」を選択しました。
そして少女はキノと名乗り、長かった髪を切り、亡くなったキノの代わりに旅を続けることを決意します。
その後、師匠の下で銃の練習をしたり、キノ(男性)の母親に会いに行き殺されかけたりと、いろいろあるのですが僕はこの「大人の国」の話が一番好きです。
僕がこの本を読んだのはたしか中学生の頃。
大人になっても好きな事だけして生きていたい、僕もキノのように感情移入はしないままいろんな人と話してみたいと思うようになりました。
そこから僕はもう30歳。
未だにこの考えはブレません。
「キノの旅」は世間というものが嫌いな人にはハマるかもしれません。
キャッチフレーズがいつまで経っても頭から消えず、なにかあるたびにこの言葉を思い出します。
「世界は美しくなんかない、そしてそれ故に美しい」
長いものに巻かれる社会を見れたり、新しい価値観に出会える作品です。
主人公はキノで、ずっとエルメスと共に旅をするのは変わらないですが、他にもメインキャラクターが登場します。
短編ですが、ひとつひとつの話が考えさせられるような作品で、大好きです。
ブログを書いていたら読みたくなってきたので、近いうちに今まで買っていなかった巻を買おうと思います。
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